先ほどまで、テレビでラグビーワールドカップのカナダ対ニュージーランド戦が中継されていた。
解説者の言葉に驚いた。「ニュージーランドは強い強いと言われながら、2011年まで一度も優勝したことがなかったんです。」(ただし、これはもしかしたら、私の聞き間違いで、「1987年に優勝して以来、2011年まで一度も優勝したことがなかったんです。」だったかもしれない。ただ、画面上には、優勝した年として、2011年と2015年の文字が表示されていた。)
私の聞き間違いである可能性もあるのだが、とにかく、その時びっくりした私は、隣にいたニュージーランド人に聞いた。
私:「ニュージーランドは、ワールドカップで2011年まで優勝したことがなかったの?」
彼:「優勝したことあるよ。1987年に。初めてのワールドカップがニュージーランドで開催された時。」
私:「でも、今、解説者が2011年まで優勝したことがなかったって言ってたよ。」
彼:「何か、翻訳の間違いがどこかで生じてしまったんだと思う。今までにも何人かから、『ニュージーランドがワールドカップで初優勝したのは、2011年だったんですね。』と言われたことがある。僕は、1987年にニュージーランドで試合を見てたから、その年に優勝したのは、確かなんだけど。」とのこと。
「またかぁ~。」と、思った。翻訳や通訳の世界では間違い・誤解だらけだ。今までにも多くの誤訳を目にし、耳にして来た。今日のテレビでの解説者の言葉が、私の聞き間違いであったのかどうかは、今、確かめようがないのだが、私の隣にいたニュージーランド人が、何回か「ニュージーランドがワールドカップで初優勝したのは、2011年だったんですね。」と言われたことを考えると、やはりどこかで誤った翻訳がなされてしまった可能性は大きい。
とすれば、なぜ、この間違いが生じてしまったのか、考えてみた。恐らく誰かが「New Zealand did not win the Rugby World Cup between 1987 and 2011.」と言ったのが、「ニュージーランドは、1987年と2011年の間には、優勝したことがない。」あるいは、「ニュージーランドは、2011年の前には優勝したことがない。」等々...とでも訳されてしまったのではないだろうか。もとの英文を直訳すると、「ニュージーランドは、1988年と2010年の間に優勝したことがない。」である。なので、「ニュージーランドは、1987年と2011年の間には、優勝したことがない。」であれば、英文は、「New Zealand did not win the Rugy World Cup between 1987 and 2011, inclusive」となる。
今まで目にし、耳にしてきた誤訳のことを考えるとこれぐらいの間違いは普通に起こる。もっと簡単な表現ですら、誤訳されてしまい、堂々とテレビ画面のテロップとして流されているぐらいだ。
そういった誤訳を発見する度に仰天し、「言ってもいないことを言ったように報道されている人達」を気の毒に思うのだが、世の中はどれだけ誤解誤解の連続で営まれていることだろう。自分も何かの拍子に誤訳をしてしまっているかもしれない。
この様な誤解を減らすためにも、世界共通語である英語をきちんと学んで教え、日本語力も鍛えて、微力ながらも、誤訳の減少に貢献したいものだ。なんて思ってみたものの、難しいなぁ~。