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幼児時期から英語を教えることの是非について


 当教室を前任者より引き継いでから9年半近く、自分自身が授業をするようになってから、8年半近くが経過した。引き継いだ当初から現在までよく聞かれる質問がこれだ。「英語学習は幼児の頃から始めた方がいいのだろうか?もっと大きくなってからでも構わないのでは?」

 この質問に対する私の第1の答えは、「幼児から始めると、発音の練習をしなくていいし、綺麗な発音ができるようになるので、とても楽です。7歳を過ぎてから始めると綺麗な発音で話せるようになるためには、相当な努力を要するし(とはいえ、ひじょうに稀ではあるが、すぐにできるようになる人もいる。なぜなのかは、わからない。)、人によっては、一生できるようになりません。」だ。実のところ、幼児に発音やアクセントを教える必要は全くない。我々の発話を聞いただけで、ちゃんと発音できる。ということで、発音やアクセントの取得に関しては、早く始めるに越したことはないと思う。

 第2の答えは、「言葉で説明するのは難しいのですが、幼児から学習を始めた結果を木に例えると、『どっしりとした太い幹に、枝や葉が育って行く感じ』です。大きくなってから始めると、『細くてひょろひょろした幹に、枝や葉が育って行く感じ』です。だから、強い風が吹いたら倒れてしまう。始める年齢が遅くなればなるほど、この幹が細くなっていく感じです。」だ。しかし、これは感覚的なもので、何とも説明しがたく、こんな答え方では、自分も、もやもやした気持ちを抱えてしまう。

 ところが、最近、新たな事象に気が付いた。大学入試改革に伴い、「実用英語検定準1級を受けたいので教えてもらえないだろうか」という依頼が増えて来た。また、東京の大学に入学後、英語の授業についていけないので、夏休みや冬休みの帰省中に何とか助けてもらえないだろうか。」といった依頼などもある。残念ながら、私どもの時間がとれず、引き受けられない場合が多いのだが、何人かには教えることができた。そこで気づいたのが、彼らは真面目に受験勉強に取り組んで来ただけあって、リーディングはとてもよくできる。文法の知識も豊富だ。ライティングも時間をかけさえすれば、実用英語検定準1級合格レベルに到達できる。問題は、リスニングだ。幼児の頃から当教室で勉強している中学生達のレベルになかなか達することができない。とはいえ、ある程度の時間をかければ、実用英語検定準1級のリスニングの問題に7割~9割程度程は、正解できるようにはなる。一番たいへんなのが、スピーキングだ。当教室では、中学2年生ぐらいから、様々な命題、例えば「Celebrities should be responsible for the products they advertise 」などについて討論するのだが、彼らはよく語る。文法が間違っていようが、言葉の使い方が間違っていようが、とにかく一生懸命、語る。そして、私達教師が間違ったところを指摘し、適切な表現の仕方を教えながら、練習して上手くなっていく。出て来る意見もしっかりしていて、中学生なのによくこんなことを考えつくなと、思うことも多い。ところが、上記の大学受験を迎えた年齢に達してから来るようになった生徒達は、これができないのだ。質問すると押し黙ってしまう。「英語で表現するのが難しければ、日本語でいいですよ。」と言うと、「何を言っていいか分からない」と言うのだ。これは、一体どういうことなのだろう。リーディングの問題があんなに解けるのに、ライティングもわりとよくできるのに、話すべき内容が見つからない、考えつかないのだ。また、仮に話すことが見つかったとしても、当教室の中学生達のように、英語で表現することができない。

 逆に、当教室に幼児の頃から通っている生徒達は、なぜあんなに語れるのだろう。英語を聞き慣れている、語り慣れている、ということに加えて、我々がやっている授業の内容に何か思考力を育てるものがあるのではないかと感じて、教材の内容を振り返ってみた。当教室の教材は、ほとんどがSCHOLASTIC社、ケンブリッジ大学出版局、オックスフォード大学出版局といった、イギリス製である。また、ネット上では、BBC Learning English や、British Council のサイトにお世話になっている。よくよく考えてみると、これらの教材のほとんどがそれらを通して、思考力を鍛えるようにつくられている、あるいは、私自身が無意識のうちに工夫を凝らして、思考力を鍛えるような形に持って行って授業をしていることに気が付いた。この無意識の工夫は、普段から、上記の「生徒に考えることを求める教材」を使っていたことから出て来たものであろう。 彼らが、若いながらあれだけの意見を語れるようになったのは、これらの優れた教材のお陰ではなかろうか。上記の教材、色々なアイディアがあって素晴らしい。私の様な者には、とてもではないが作れるものではない。

 また、質の良い教材に加えて、当教室でケンブリッジ英検の受験を前提に授業を行っていることも、彼らが自分の意見をしっかり語れるようになる大きな要因だと思う。ケンブリッジ英検の問題を解くには思考力を必要とする。暗記や反復練習などをやるだけでは、どうやったって解けない。

(正にこの「暗記や反復練習だけでは、合格できない」という点が、ケンブリッジ英検が日本でなかなか普及しない理由にもなっており、残念なことではある。)

 以上、「幼児の頃から英語学習を始める場合とそうでない場合には、何が違うのか。」ということについて考えを巡らせてみたのだが、今のところ、私の結論としては、「より小さい頃から思考力を鍛えるような形で授業をすすめるのと、そうでない場合とでは、だいぶ結果が違って来るだろう。」ということだ。

 日々、優れた教材を作成するために尽力していらっしゃる方々がおられる。そういった方々が作られた教材を使わせてもらいながら、よりよい授業ができるよう精進していきたい。


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