今から9年前の2010年4月、前任者よりジェリービーンズイングリッシュスクールを引き継ぎ、運営を始めた。
引き継ぎの際、驚いたのが、この英会話教室で「ケンブリッジ英検」の受験指導が行われていることだった。ケンブリッジ英検は、今でこそ少しは名前が知られるようになって来たが、当時の日本においては「ほぼ無名」と言っていい様な状態だったと思う。
私にしても、日本でケンブリッジ英検が受験できるのは、東京と大阪だけだと思い込んでいたため、鹿児島の地で教えている教室があるばかりではなく、受験までできることには仰天した。
とはいえ、とても嬉しかった。なぜなら、20代の頃から、この試験に沿って勉強すれば、英語力が向上することを十分理解していたからだ。しかし、30代・40代の頃は、別なものを教えていて、英語の授業からは遠ざかっていたため、英語の授業を始めるとなると、準備が大変だった。特に、日本人(その言語が英語と大幅に異なる)に対して、ケンブリッジ英検に沿った授業を行うためには、かなり多くの時間を準備に費やさなければならない(少なくとも私の経験上はそうだ)。
よって、私は当教室で英語の授業を始めてからは、暇さえあれば授業の準備をしている。
また、ライティングの指導にも時間がかかる。特に試験前は、添削の繰り返しだ。生徒達も、中学生や高校生の場合だと、学校や塾の宿題もあるので、英語の文章を書くとなるとたいへんだ。宿題として出していた課題が、夜中の11時以降にメールに添付して送られてくることなどざらである。生徒達が頑張ったものの添削を次の日まで持ち越したくはない(たまに、持ち越してしまうことはあるけれど)。それから添削をして送り返すので、返信が夜中を過ぎてしまうことなどしょっちゅうだ。
ただ、私は年齢のためか、睡眠時間が短くて済むので、これも何てことないのだが、若い生徒達にとってはたいへんだ。(私も、若い頃は眠かった。高校3年生の時など、ほぼ毎日、夜の8時から朝の6時まで熟睡していた。そのうえ、たまに学校で授業中に居眠りまでしていたのだ。よくもそんなに眠れていたものだと思う。幼児並の睡眠時間だ。)
生徒達はたいへんだが、ケンブリッジ英検の課題に従って練習すると、いい文章が書けるようになる。イギリス人のプロが採点するので、言葉も、簡単なものから難しいものまで、どんなものを使っても大丈夫だし、技巧も凝らせる。難しい言葉を使ったり、技巧を凝らしたりしたら、減点されてしまうのではないだろうかと恐れる必要もない。すなわち、教師の側からすれば、ストレスなく指導ができるのだ。スピーキングの指導においても同じことが言えるが、このストレスなく指導できることが、教師にとって、非常にありがたい。
私が、このケンブッリジ英検に沿ったカリキュラムで教えているのは、「それが生徒達にとっていいと思うから」ということが一番の理由であるのだが、自然な英語を教えればよいので、外国人講師や私にとって、教えるにあたってのストレスがないということも、もう一つの理由なのである。
もちろん、受験を強制しているわけではないので受験しない生徒達もいるが、要は、この試験に沿ったカリキュラムで学習することが、良い結果をもたらす。
外国で生活したことのない中学生が、「英語で、一生懸命自分の考えを語る姿」、「我々教師達が、英語の普通の速さ(日本人にとってはとても早く感じられる)で話をしている時に、会話に入ってくることができる姿」を見るのは、至福である。
これも、このカリキュラムのおかげであると思うのだが、他にも様々な英語教授法がある。国内外の英語教育の諸先輩方の教えを請いながら、さらに工夫を重ねて、より質の高い授業を行っていきたい。